コラム

最適暖房問題~古民家編~

毎年このくらいの時期になると、必ず頭をよぎる問い。

「結局、暖房って何が最適なんですか?!」

エアコン?
こたつ?
石油ストーブ?
電気代?
灯油代?
今年は暖冬?雪が多い????(;´・ω・)(‘∀’;)

…いやいや(笑)

ネットを見れば、
「エアコンが最強!」
「灯油が最安!」

そして最終的には
「地域によります」
「家の断熱次第です」

あの…結局どうすりゃいいんですか(^_^;)

筆者も毎年、11月頃から「暖房 コスパ」と検索してしまいます。
「結局去年の光熱費は…あれが最適解だったのか…?」と
毎年毎年同じことを考えます。
そしていつだって答えは出ず、首を傾げながら同じ暖房器具を使います。

 

正解は「家によって違う」

 

確かに、「地域や家の断熱による」というのが正解です。

不動産のお仕事をしているとよく感じることですが、
暖房の正解というのは、お家によって本当に全然違います。

 

・戸建か集合住宅か
・築年数
・断熱材
・部屋の広さや間取り
・日当たり
・家族構成
・ペットの有無

これらが違えば、当然

「一番暖かくて安い暖房」も全部変わってきます。

 

※今回の記事は長くなってしまった為、
結論だけ読みたい方はどうぞ目次のジャンプ機能をご利用ください。

 

古民家の冬~どうして古民家は寒いのだ~

 

さて、ここからはたねむら不動産らしく、
古民家での暖房事情について掘り下げてみたいと思います。

古民家、つまり古めの日本家屋。

・広々とした土間のある玄関
・廊下や壁で細かく区切られていない、吹き抜け間のある間取り
・襖で仕切れるものの、一階全体を大広間のように使える造り
・階段も居室空間の中に溶け込んでいて、それ含め大きな一つの部屋のような家

こういったイメージですよね。

正直に申し上げましょう。

 

寒いです。(あまりに正直)

 

嘘を言ってはいけないので、まずははっきりとお伝えしておきます。

 

なぜ古民家は寒いのか

 

それは、昔の日本家屋が「冬の快適さ」を最優先にしていない家だから
だと言えるでしょう。

古民家は、現代の住宅のように
断熱・機密・一年中同じ室温
ということを念頭には造られていませんでした。

というより、
優先順位が逆だったと言えます。
古民家が一番重視していたのは、
日本の夏をどう生き延びるかでした。

 

日本の夏の本体は、暑さよりも「湿気」説

 

湿気が好きな方はなかなかおられないのではないでしょうか。

筆者は湿気が苦手です。
髪はうねり、肌は荒れ、なんか身体が重く感じるし頭も痛い気がする…
もぅマヂ無理…全部湿気のせぃ…

あまりの嫌さ加減に、筆者の中の平成の女子高生が目覚める前に、
多湿による諸問題を整理してみます。

建物へのダメージとしては、
・蒸れる
・乾かない
・カビやダニの発生
・腐る
など。

人体への影響で例を挙げると、
・自律神経の乱れ
・体温調節機能の低下
・カビやダニを原因としたアレルギーのリスク

湿気は、家も人もじわじわと弱らせます。

しかし、皆様もよくお分かりのように
日本の夏の湿度はすごい。
湿度90%なんていう予報も珍しくありません。

そんな環境なので、昔の日本の住宅は、
湿気を溜めないことをなによりも重視して造られていました。

 

古民家=閉じない家

 

伝統的な日本家屋というのは、
土壁、漆喰、畳などの自然素材の持つ調湿性をフル活用
床下や屋根裏に空間を作り、間仕切りは障子や襖で柔軟にし、
さらに軒や縁側など、とにかく家中の通気を良くして造られた、

ハイブリッド日本の夏向け住宅とも言えるものです。

・隙間を沢山作ることで、
・風を通し、
・湿気を逃して、
・熱を溜め込まない

 

だから冬は寒い。
当然そうなります。

しかしこれは欠陥ではなく、
思想の違いだと筆者は捉えています。

冬の暖房効率を犠牲にしてでも夏の湿気対策を取った家

それが古民家なのです。

今の家との決定的な違い~そして最適な暖房とは~

 

現代住宅は概ね

・外気を遮断する
・空気を閉じ込める
・機械で温度と湿度を管理する

という考え方で造られています。

古民家の思想とは真逆と言ってよいのではないかと筆者は思います。

だから、
「古民家寒いから最新の暖房入れたら解決できるよね?」
と思っても、
上手くいかない場合もあるのです。

 

「全部が快適な家」ではないけれど。

 

古民家の夏は、
・梅雨でも空気がどんよりしにくい
・夏の夜、風が通ると涼しい
・建材の木や土が湿気を吸ってくれる

コンクリートの家の
「むんとした蒸し暑さ」とは性質が違います。

冬の寒さと引き換えに、
夏を快適に生きる知恵が詰まっている。
そう言えるのではないでしょうか。

 

古民家は、一年中通して快適であることを目指した家ではありませんが、
それを「不便」と感じるか、
「味わい」と感じられるか。
そこが、古民家に向いているかどうかの分かれ目です。

現代住宅では味わえない、季節の違いを楽しむ生活は、
筆者はそう悪いものではないと考えます。

 

そして古民家の最適暖房は

 

お待たせしました。

隙間が多く、空間も広い古民家に最適な暖房を発表します。

 

昔の人が導き出した最適解:こたつ

 

皆様ご存じ日本の叡智・こたつです。

これはもう、古民家との相性が抜群です。

空気・空間ではなく、体を直接温める。
天井の高さも吹き抜けも関係ありません。
ありがとうご先祖様。

部屋そのものを温める道具ではありませんが、
燃費の面も考慮に入れるとやはりこたつが
一番満足感を感じられるのではないでしょうか。

 

燃費を考慮しない場合のあったか暖房

 

こたつ以外の、空間を暖める系の市販暖房器具のケースでは、

石油ストーブが暖かいです。

とにかく灯油を消費しますが、
燃費度外視部門では、やはり石油ストーブに軍配が上がるでしょう。

 

エアコンの暖房は、古民家においては無力…( ˘ω˘ )
残念ながら、これがあんまり暖かくなりません。

これは筆者も身をもって体験しています。
日本家屋の冬にエアコンは…本当に…殆ど無意味なんじゃないかな…
熱が逃げる逃げる…
(夏のクーラーは普通に効いてましたが)

 

暖かい空気というのは高い所へ回っていく性質があるので、
高い所から温風をファーっと吹いてくるタイプの暖房は、
天井が高く隙間の多い古民家とは、
相性がよくありません。
気密性の高い現代住宅向けの暖房器具と言えるでしょう。

 

石油ストーブが難しければ、
石油ファンヒーターがよいでしょう。
暖かさではストーブに劣りますが、
ストーブほどは灯油の消費量が抑えられます。

 

そして、
もし予算を費やせる・なおかつリノベーションが可能な場合は、
思い切って床暖房やガスファンヒーターを取り入れるのが良いようです。
天井にサーキュレーターも設置すれば完璧です。

 

古民家で暖か幸せライフを

 

こたつがあれば。

それから、
石油ストーブ(但し灯油を物凄く消費します)
もしくは石油ファンヒーター。

素敵で楽しい古民家暮らしも夢ではありません。

 

火の元には十分注意して、
皆様どうぞ暖かく幸せな年末年始をお過ごしください。

 

 

たねむら不動産
寺本